【手術レポ】左胸全摘とセンチネルリンパ節生検、14個の郭清のこと

2026年2月4日水曜日

乳がん

南の島をイメージしたワンピース姿の女性が、カクテルを持って微笑んでいるイラスト。Breast Cancer Journalの英字ロゴ入り
画像生成:Gemini


この記事は、当時インスタグラムに書いていた乳がんの話を、ブログ用にまとめ直したものです。


自分の記録として、そして、誰かの役に立てばうれしいなと思って書いています。



手術当日のハイライト:人生最大の注射

手術当日の朝、9時から準備が始まった。
今回の手術の大きな目的は二つ。
一つは左胸を全摘すること。
もう一つは「センチネルリンパ節生検」という検査。


乳がんには、乳房からリンパ管を通って流れていく性質がある。
その流れの約9割は、脇にある「腋窩(えきか)リンパ節」に向かうらしい。
だから乳がんの手術では、まず脇を重点的に見ることになる。


その流れの一番最初の関所が「センチネルリンパ節」だ。
センチネルとは「見張り・門番」という意味。
もしそこが無事なら、その先のリンパ節も無事である可能性が高い。
無駄にリンパ節を全部取らなくて済む人を見分け、術後のしびれやむくみ(リンパ浮腫)のリスクを減らすための、とても大切な検査なのだ。


その見張り役の場所を特定するために、まずはお胸にRI(ラジオアイソトープ)という液体を注入する。
看護師さんに「痛いよ」と言われていたけれど、全然平気だった。
「あ、なんか入ってるな」という違和感があるくらい。
自分は痛みに強い体質なのかもしれない、なんて少し得意げな気分になった。


けれど、その直後に悲劇が起きた。
手術中に麻酔や薬を流し続けるための「点滴ルート」の確保。
この注射が、信じられないくらい痛かったのだ。

一回ミスされて、二回目もグリグリと。
人生で一番痛い注射に、あまりの衝撃で泣きそうになった。
「調子に乗るんじゃないよ」と誰かに嗜められたような気がして、一瞬で謙虚な気持ちになった。



手術室へドナドナ。そして最後の痛み

時間が来て、車椅子に乗せられた。手術室へドナドナされていくわたし。
もっと緊張でガチガチになるかと思っていたけれど、不思議と心は落ち着いていた。


友人や同僚から次々に届く「緊張する」「ドキドキしちゃう」というLINEを見ているうちに、なんだか可笑しくなってしまったのだ。


「みんな、わたし以上にあわあわしてるな」と心の中でツッコミを入れながら、どこか遠くから自分を見つめるような、そんな客観的な視点が生まれていた。
みんなの動揺が、逆にわたしを静かな場所へ連れて行ってくれたのかもしれない。


手術室の扉が開くと、そこはまるでドラマのセットのようで、物珍しく周りを観察する余裕さえあった。
台の上に横たわり、酸素マスクをつけられ、いよいよ麻酔が投入される。
「これが、全身麻酔かぁ……」なんて感慨に耽る間もなく、腕に激痛が走った。


血管を直接焼かれるような、ズキズキとした鋭い痛み。
「えっ、腕がめちゃめちゃ痛い」
そう思った瞬間に、わたしの意識は深い眠りの中へ、スヤァと吸い込まれていった。



目覚め、せん妄の恐怖、14個の覚悟

意識が戻ると、2〜3時間の予定だった手術は、4時間で終了していた。
左胸の全摘と同時に行われた「見張り役」の検査の結果は、いくつか転移の疑いがあることがわかったらしい。
そのため、急遽予定よりも範囲を広げて、合計14個のリンパ節を取り除く「郭清(かくせい)」をすることになったとのことだった。


手術が終わって目を覚ますと、喉に猛烈な違和感があった。
呼吸を助けるための管を入れていたせいで、喉がずっといがいがして、なんとも不快な感じ。
体中あちこち頑張ったんだな、とぼんやり思った。


そういえば、手術の前に看護師さんから説明を受けていた「せん妄」。
麻酔から覚める時に一時的に脳がパニックを起こして、幻覚を見たり、暴れたり、無礼なことを口走ったりしてしまう症状のこと。
誰かに失礼なことをしてしまったらどうしようと、わたしは密かにビクビクしていたのだが……


結果的に、誰かを傷つけるようなことはなかったみたいで安心した。
ただ、看護師さんの話では、わたしは目覚める時にものすごくハイテンションで「南の島に行ったんだ!」と熱弁していたらしい


 ……けれど、今のわたしにはその記憶がこれっぽっちも残っていない。
せん妄、おそろしい。
わたしの意識がどこか遠くへ飛んでいた間に、体だけが勝手に南の島の夢を見て、それを実況していたのだろうか。
なぜ南の島……



術後の体調と、ドレーンという相棒

幸い、全摘した胸の痛みや頭痛、吐き気もなく、ぐっすりと眠ることができた。
今は脇に「ドレーン」という、術後の血やリンパ液を外に出すための管が入っている。
これがあるせいで少しの違和感はあるけれど、左胸を全摘してリンパ節を14個も取ったわりには腕も動かせるし、スタスタと歩くこともできる。

ご飯も美味しく食べられている。
あと、おしっこパックがついているから、トイレに立たなくていいのが地味に楽だ。
看護師さんが手際よくパックを交換してくれるのを眺めながら、溜まった量を見て「わぁ、こんなにも出たのか」と、毎回感動している。



次のステップへ向けて

とりあえず、大きなステップをひとつクリアして、ほっとしている。
取り除いたものはこれから病理検査に出され、その結果が出て初めて、わたしの最終的なステージやがんのタイプが確定する。


次は退院。
そのあとには結果を聞いて、治療方針をしっかり決めて、卵子凍結をして、本格的な治療が始まって……。
やることはまだまだ、山のようにある。


だけど、焦らずに。
ひとつずつ、クリアしていこうと思う。




※このブログの内容は個人の体験に基づく記録であり、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。


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わたしの乳がん備忘録 | 記事まとめ

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そう

夫と猫のルイくんと暮らすアラフォー。
乳がん罹患をきっかけに
がんばりすぎない暮らしへシフト中。
専業主婦になりたい在宅ワーカー。

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