付き合って1週間で乳がん告知。彼に別れを切り出した夜と、救われた言葉
2020年夏、乳がんの告知を受けた。
付き合って間もない彼への葛藤、支えられた言葉。
インスタグラムに綴っていた当時の記録を、ブログとしてまとめ直しました。
新しい恋が始まって1週間で発覚した乳がん
2020年夏。わたしの止まっていた時間が、ようやく動き出したはずだった。
離婚してから3年。
「もう一度、誰かと幸せになってもいいのかな」
そう思える人に出会った途端のことだった。
バツイチ同士、不器用ながらも「これから二人で歩んでいこう」と笑い合った。
けれど、付き合ってわずか1週間。
わたしの左胸に、乳がんという冷たい現実が影を落とした。
「結果が出るまで、黙っていようか」
病院での精密検査が進む中、最初は「ステージ1」の可能性があると言われていた。
けれど、検査を重ねるほどに不安は募る。
現時点でわかっていたのは、わたしのがんは手術、抗がん剤、ホルモン治療が必要なタイプだということ。
髪が抜け、体にメスが入る。
その恐怖と同じくらい、始まったばかりの彼との関係を失うのが怖かった。
「彼にいつ伝えようか」
信頼している友人に相談すると、こんな言葉が返ってきた。
「まだ確定じゃないんでしょ? 結果が出てから伝えても遅くないんじゃないかな」
確かに、と思った。
せっかく手に入れた3年ぶりの幸せ。
わざわざ壊すようなことをしなくても、という配慮。
けれど、わたしの心にはどうしても拭えない違和感があった。
隠したままの笑顔は、わたしには選べなかった
以前の結婚と離婚。
その経験を経て、わたしは「もう二度と、自分に嘘をついて生きていかない」と心に固く決めていた。
それは恋愛においても同じだった。
離婚してから、ありがたいことに何人かの男性との出会いもあったけれど、その中でも彼は、わたしにとってあまりに特別だった。
心から大切にしたいと思った相手だからこそ、これから始まる過酷な日々を隠したまま、上辺だけの楽しい時間を積み重ねるなんて、わたしにはできなかった。
夜の電話と、震える声
その日の夜、迷いを断ち切るように彼に電話をかけた。
「乳がんかもしれない。フェードアウトしても、恨まないよ。別れてもいいから」
突き放すような言葉。
けれど、受話器の向こうから聞こえてきたのは、拍子抜けするほど穏やかな声だった。
「別れないよ」
その一言で、張り詰めていた糸がふっと切れた。
孤独を包み込んでくれるような、静かな肯定。
ただ、当たり前のように隣にいてくれる。
その事実だけで、わたしの世界はまた色を取り戻した。
「時間」という数字を超えた絆
それでも、救われたはずの心のどこかで、まだ小さな疑いが消えずにいた。
「今はそう言ってくれているけれど、本当にがんと告知されたら、さすがに気持ちも変わってしまうんじゃないか」
けれど、その後の精密検査で「ステージ2A」と正式に診断されたあとも、彼の態度は何ひとつ変わらなかった。
「髪が抜けちゃうよ」
「俺も抜けかけてるし」
「治療でイライラして当たっちゃうかも」
「当たっていいよ」
「出会って間もないのに、どうしてそんなに優しいの?」
「時間なんて、関係あるの?」
ようやく出会えたのがこの人でよかった。
たとえ胸を失っても、髪が抜けても、この人は「わたし」を見てくれている。
その確信が、これから始まる長い治療への一番の特効薬になった。
そして今、わたしの隣には夫となった彼がいる
2020年のあの日。
自分の直感を信じて彼に打ち明けて、本当によかった。
隠し事のない関係からスタートしたからこそ、わたしたちの間には揺るぎない絆が芽生えたのだと思う。
あれから月日が流れ、わたしたちは結婚した。
告知を受けたあの夜、電話越しに聞こえた彼の声
あの時と変わらない温度で、今、わたしの隣には夫となった彼がいる。
当時、震える手でインスタグラムに書き留めていた断片的な記録。
それを今、こうしてブログとして改めてまとめ直したのは、一息つく余裕が出て来たから。
あの夜の選択があったからこそ、今の穏やかな日々がある。
そう確信できる今だからこそ、あの時書き留めていた感情の断片を、これからもひとつずつ、ぽちぽちと綴っていこうと思う。
※このブログの内容は個人の体験に基づく記録であり、
医学的な診断や治療を推奨するものではありません。
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わたしの乳がん備忘録 | 記事まとめ
